作成:2019-05-29 01:48   最終:2019-05-29 01:48

Webと本の句読点

著:柳井政和(小説 / Twitter


 私の場合、Web向けの文章と、紙媒体向けの文章は、句読点の打ち方を変えています。その話をしたいと思います。

読点に関する法則

 私の中で大前提として、以下の法則があります。

 ――読点を打たないと意味が通じない文章は、改良の余地がある文章である。

 長文であろうが、短文であろうが、読点を打たないと理解できない文章は、基本的に文章が骨折している時が多いです。そういった文章は、読んだ時に頭の中で、意味を再構築しにくいです。

 読点は、文章を読みやすくはしてくれますが、破たんした文章の構造を直してはくれません。

 そのため、読点を打たずとも読める文章を書いたあと、それを読みやすくする目的で読点を打つという順番があります。

 小説を写経してみると分かるのですが、文章が上手いと言われる小説家の文章は、時に極端に読点が少ないことがあります。

 これは、読点がなくても、頭にきちんと入る文章を書けているからです。そのため、読点が少なくても、すらすらと読めるわけです。

 そういった「読点なしでも読める文章が、よい文章」という大前提が、私の中にあります。まあ、私レベルでは、実践できないわけですが。

Web向けの文章と、紙媒体向けの文章

 冒頭で書いた通り、私はWeb向けの文章と、紙媒体向けの文章では、句読点の打ち方を変えています。

 Web向けの文章は大目に読点を打ち、文章を細かく分割して句点も増やしています。逆に紙媒体向けの文章では、読点を減らし、文章もあまり細切れにならないようにしています。

 これは、各媒体の読書速度を想定しているからです。

 モニターで文章を読むと、紙で文章を読むよりも、速度が落ちます。この下落は、モニターが小さくなるほど顕著です。スマホの画面だと、PCの画面よりも、同じ文章を読むのに時間がかかります。

 この読書速度の違いは、単位時間に脳に入って来る、文字数に反映されます。

 読書速度が遅いと、単位時間に脳のバッファに蓄えられる文字数が、少なくなります。そのバッファ内で文字を解釈するので、長文を脳内で解読するのが困難になります。

 逆に、読書速度が速いと、単位時間に脳のバッファに蓄えられる文字数が多くなります。そのため、句読点が少なくても、脳内で文章を解釈することが可能になります。

 これは、実際にモニターで文章を校正したあと、紙に出力して校正し直すと如実に分かります。要らない句読点が大量に出るのですね。

 なぜ「要らない」と思うかと言うと、脳内のバッファを、無駄な読点が埋め尽くすからです。文章の断片化が生じて、本来可能なはずの読書速度を阻害してしまうわけです。

 そこで、最終出力先に合わせた、適切な文章サイズのフィルターを、脳内に構築していくことになります。

応用

 この、読書速度と文章サイズの関係は、読者が接するメディアだけでなく、読者の読書力や語彙力にも左右されます。

 想定読者や用語の難易度によって、文章の分割単位を変える必要があります。この脳内エミュレーターを作るのが、けっこう難しいです。私レベルでは、なかなか上手くできません。

補足

 そういうことを考えたからといって、読者にとって本当に分かりやすい文章になっているか、楽しい文章になっているかは別です。

 文章というのは、コンテンツの一部でしかありません。

 本当に面白いネタが用意されていれば、文章が少々おかしくても、読者の方は賢明に読んでくれます。自分自身もそうですし。

 それに、小説でない限り、全てを文章で書く必要はありません。図や表が適切ならば、ためらわず、それらを利用するべきです。

 ただ、リーダビリティは極限まで上げたいなあと、よく思います。

(この文章は、noteに投稿した文章を修正して再投稿したものです)


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