回答者:海猫沢めろん(サイト / Twitter)
質問者:柳井政和(小説 / Twitter)
質問者「柳井政和」の古くからの友人「海猫沢めろん」さん(ハッカー探偵誕生――柳井政和×海猫沢めろん対談)。
その「海猫沢めろん」さんの小説『キッズファイヤー・ドットコム』(第59回熊日文学賞受賞)。
講談社から発売されたこの小説は、ヤングマガジンでマンガ化されました。
そのマンガの第1巻が出たということで、メール インタビューをおこないました。以下、ご覧下さい。
少数精鋭、短期決戦をモットーとするホストクラブの店長、白鳥神威。いつも通り歌舞伎町から帰った彼を待ち受けていたのは、見知らぬ赤ちゃんだった!
育てることを決意した神威は、IT社長・三國孔明と一緒に、クラウドファンディングで赤ちゃんを育てることを思いつく。
試練を前にして逃げることは、カリスマホストの本能が許さない。ITで日本の子育てを救えるのか!? 男たちが日本の育児の変革に挑む、新時代のイクメン小説!
Q. 柳井政和
小説『キッズファイヤー・ドットコム』のマンガ版第1巻が発売になりました。連載開始の時には、「元ホストの小説家、元ホストのマンガ家、元ホストの編集者が組んで連載開始」と話をされていました。これは本当なのでしょうか?
もし本当なら、滅茶苦茶リアルな内容ということですよね。
A. 海猫沢めろん
偶然ですがマジです。ただ、全員そんなに若くないので、今のリアルを味わうべく、手塚マキさん(ホストクラブ経営者であり作家)のアテンドで歌舞伎町に取材にでかけました。お店で飲んでたら、お客さんに「指名したいんだけど」って言われました。
Q. 柳井政和
原作者、マンガ家、編集者の全員が元ホストというのは、たまたまなのでしょうか? それともそうした人が集まってチームを作ったのでしょうか?
A. 海猫沢めろん
ぼくらくらいのレベルになると偶然っていうのはないんですよ。女神が忖度するっていうのかな。やめてくれって言ってるんですけどね。あ、これ文春じゃないですよね?
Q. 柳井政和
マンガ版『キッズファイヤー・ドットコム』のマンガ版は、ヤングマガジン(講談社)で連載されています。原作の小説も講談社から出ています。マンガ化の話は、小説の編集部、ヤングマガジンの編集部、マンガ家、どこらへんから始まったのでしょうか?
A. 海猫沢めろん
真面目に答えると編集のSHIN君から話が来て、そこからですね。小説も漫画も同じ会社だと話が早いかと思ったら、けっこう時間がかかったんですよ。
Q. 柳井政和
マンガ化の話が決まって、実際に連載が始まるまで、どのぐらいの期間がかかったのでしょうか?
A. 海猫沢めろん
3日ですね。ぼくの体感としては。
実時間では31536000秒ですけど。あ、1年っていうんですか? すいません、つい。いつも秒刻みで生きてるんで。
Q. 柳井政和
小説がマンガになるということで、めろんさんに作業は発生したのでしょうか? たとえば、打ち合わせや資料提供など。どういった作業が発生したのか興味があります。
A. 海猫沢めろん
漫画は絵が命なんで、まずは現地取材。あとはぼくが持ってる実在するホストクラブのマニュアルとか、そいうのを見せたり。あとみんなで髪を盛ったり、女の子とLINEのやりとりをしてみたり。家でシャンパンを積み上げる練習したり。お酒を飲んだり。BBQをしたり。とにかくホストがやっていることをやってみました。
まあ、全部意味なかったですけど。
Q. 柳井政和
めろんさんが考える、小説版とマンガ版、それぞれの魅力を教えていただければと思います。
A. 海猫沢めろん
小説は純文学誌に掲載されたものなんですが、村上龍さんの『愛と幻想のファシズム』を意識していました。あれをコメディにして現代に甦らせるとどうなるかなと。同時に、読むといろいろと社会のことがわかるようになっています。
漫画版の魅力はなんといっても主人公です。川口先生と編集のSHIN君がキャラクターを掘り下げて、小説版よりだいぶ人間らしくなってます。少女漫画オタクなんですがそれがバレないように隠してる、というのは重要な意味があって……これはぜひ読んでください。
Q. 柳井政和
『キッズファイヤー・ドットコム』という作品に興味を持った人への、熱いメッセージをお願いします。
A. 海猫沢めろん
とにかくこの国は腐ってる。クソ。そんな想いを煮詰めました。
ホストが子供使ってクラウドファンディングで社会を炎上させるっていう話で、実は子育て漫画じゃないんで子供に興味がない人も読めます。
一緒に日本を燃やしましょう。
(了)
「ノベル読もうよ」では、出版社から発売された商業小説の応援をしています。自作小説の宣伝のために「こういう切り口でインタビューを受けたい」などありましたら、管理者の柳井までご連絡ください。宣伝のお手伝いができればと思います(インタビューはメールなどで実施します)。
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