滅亡した町の中では、二人は世界の半分ずつだから
体が溶けて死んでしまう奇病、通称『メルト』が急に勃発した波南町は、外部への感染を防ぐために急遽高い壁で隔離された。
波南町に住む『わたし』は、壁の中に閉ざされたまま、壁の外にいる友人にも恋人にも排斥され、壁の中にいた人々も死に絶えた……はずだった。
死ぬまで一人でいることを覚悟した少女が、誰もいない町で見つけたのは、真新しい落書き。自分しか生き残っていないと思っていた場所に残される誰かの痕跡。
たった二人だけ生き残った町で『もう一人』の名前を呼ぶまでの物語。