全ての人間は混血である。しかし多くの日本人は自分が単一的であると思い込む。その中で単に国籍や文化の違いで混血・ハーフと呼ばれた者は今日も立ち尽くす。
某有名投稿サイトで削除されネットを流浪した末に破滅派に辿り着き多数読者を恐怖に陥れた「1988年10月」や、日本精神の体現者達との不毛な対決を描く「“誇り”高き人々」等の混血小説に加え、新作短編や資料、エセーを追加した、電子出版的テロル誕生。
“普通の日本人”ではない“私”は、ある物を見るために、地方の「平和会館」なる戦争資料館へ向かう。 しかし平和会館の陳列物を見、出会った館長の話を聞く内、私は思いもしなかった「出自的」混乱に巻き込まれる。
ハーフであるがこれまであまり意識する事が無かった“私”。しかしある日学校で、内容と言うよりは教師の態度で苦手意識のある古典の授業で、壮絶な体験をする事になる。"日本の文化”に屈服させられそうになった私は……。
1988年のある日、天皇裕仁が下血している頃、混血の"私”は喫茶店に居た。隣の席で旧日本兵の老人二人が過去の残虐行為について語り出す。片方の老人が連れていた幼女がトイレに向かうのを見た私は、その後をつけ……。 (ノベルゲーム版「1988 OCT」も別売中)
他、書下ろし計8作収録。