ただ恐怖していたあの日に戻ることができればいいのに
自分が恐怖を抱いているのは『ここ』だ。ヒヅメ坂だ──
もうすぐ秋の祭を迎える頃。閉鎖的な集落、ヒヅメ坂に住む少年、来(きたる)は何の理由も兆候もなく強い恐怖感が起こり、外に出ることが困難になった。
大切な四人の幼馴染み達と共に、何に恐怖しているのかを探ろうとするが、その合間にもヒヅメ坂は刻々と異様な場所へと変わりつつあった。その頃から徘徊しているらしい不審な女。家庭訪問に来た担任教師が体を引きちぎられて死亡した頃から、自分の周囲の人々が変化しつつあることに気付く。
このヒヅメ坂で何が起こっているのか。少年は自分の恐怖の根源を知ることができるのか?
クトゥルー神話をモチーフとした青春怪異譚。