春田信明。
２０年前、神社で見たのは「あの家」に棲む男が娘の死体を蹂躙する姿だった。
おまえもやるか？　と問われた春田は、ひたすらに逃げた。
春田はふるさとに帰ってきた。町にひとつしかない、中学校の教師として。

蓑原六花。「あの家」の娘。
ふけまみれのセーラー服。
洗った様子のないごわついた髪が表情を隠している。
やせっぽちの、ひとことも口をきかない少女。

蹂躙された娘の兄であり、蹂躙した男の息子、蓑原隆造。「あの家」に生まれた男。
捨てた「あの家」に、人生をやりなおすために戻ってくる。
彼と妻の宝物は、娘の六花。
壊したのは、誰なのか。

「あの家」の、業の結末は。