かつて、大陸の覇権と勝利のためヒッタイト帝国に召喚された一人の少女がいた。 異国出身の彼女は武家の末裔で、その腰にはカタナと言う鋭利な片刃の剣を靡かせ、オンミョウジなる系統の超能力をその身に宿していた。武芸に秀でた彼女は宿敵エジプトの撃退に貢献しただけでなく、その型破りで破天荒な素質からヒッタイト帝国に数々の恩恵を齎した。 人々は畏怖を込めて、勝利の女神の化身“暁星(イシュタル)”と呼んだ。 宿敵エジプトと平和条約を締結し終戦が叶った後、彼女は姿を消した。役目を終えた暁星(イシュタル)は天へ還ったのだったー
「つまりここエピローグか」
熱くもなく冷めてもおらず、水のようにさらりと生きてきて二十八年。ふらりと立ち寄った骨董店で、月ヶ瀬瑞琴(ミコト)は古めかしい版石に刻まれた詩歌を何気なく口ずさんだ。それが扉を開けることになるとは知らずに…ところが、辿り着いた古代オリエント風の世界は明らかにエピローグ。《 ー救ってー 》と不思議な声に懇願されたものの、平和で平穏なエピローグでアラサーが一体何をしろとー?
これはそれなりに生きてきたアラサー女子が、それなりに培ってきた等身大の身ひとつで、物語の主役達を観察したりツッコんだり寄り添ったり時に喝を入れたりしながらエピローグの世界をそれなりに過ごしてゆく異世界ライフを描いた話。