戦争に向かっている国家に歯止めをかけることができるのは農民しかいない。戦争に反対するために、自分で判断して行動するのだ

事実と虚構を交えて語られる『木を植えた男』の作者ジャン・ジオノの驚くべき少年時代。ジオノ文学の創造揺籃期が描かれる。

『憐憫の孤独』は二十の中・短編で構成されている。物語もあればエッセイもある。 初期「牧神三部作」（『丘』『ボミューニュの男』『二番草』）のあとに書かれた作品で、ジオノ文学の重要な要素が見事に凝縮された内容豊かな傑作である。 これ以降に出版される多種多様な作品群を予告するような物語が多く含まれており、 ジオノ文学の扇の要にたとえられるような作品だといえよう。

ロングセラー絵本『木を植えた男』を、新たに黒井健のイラストを付し単行本化。作品理解を深める解説頁も充実させた文芸版。

樹木や森林の重要性をいち早く物語で表現したジオノ。世俗的な報酬をいっさい求めることなく黙々と森林再生に努めたブフィエ。読者がそれぞれ自分の状況に応じてこの物語を楽しんで読めばいい。文学は多様な読み方が可能なのである。