小説を書くときに、すべての情報が頭の中にあれば一番楽なのですが、そう上手く行かない場合が多々あります。この場合には他人の知識を借りねばなりません。さて、それをどこから持って来ましょう。知り合いに詳しい人がいるなら有り難いのですけれど、なかなかそんなラッキーな展開はありませんよね。ではどうするか。
ググる。
……で、終わってしまう事が非常に多いのは事実。便利な世の中です。しかし、さすがに全部とは行かないのですね、これが。そういう場合、私はやはり紙の本です。結局のところ専門書籍に当たる事になります。具体的な線引きはないものの「このくらいならWikipediaにでも載ってるんじゃないか」程度の事は検索して済ませますし、検索した上で「これは専門書じゃないと無理かな」と思う事は書籍に当たる事になります。当たり前っちゃ当たり前なんですが。
ただ、専門書に当たると言っても、「作品中にAを出すからAについて詳細を調べよう」というのは少ないように思います。どちらかと言えば、「Aについての本を読んだからAを作品中に出してやろう」と考える傾向が強いですね。なので、作品を書き始めてから資料を集める事はあんまりありません。手持ちの資料の中で書ける作品を考える方が性に合っているようです。貧乏性とも言いますが。
もっとも例外は常にあって、作品の方向性が最初からドッシリ決まっている場合には、それに合わせて資料をドカンと集める事もあります。たとえば「ちゃんばら多角形(ポリゴン)」という、安土桃山時代を舞台にした作品を書いたときに資料として買った書籍は、こんな具合です。
などなど。他にもありますし、インターネット上の情報も当然目にしています。もちろん、これら書籍などから得た情報を、全部作品に投入する訳ではありません。そんな大変な事は出来ません。物語を作る上で都合の良いところだけをチョイスして、悪い言い方をすれば、上っ面だけすくい取って体裁を整える訳です。しかしジャンルによっては、体裁を整えるだけでも大量の情報が必要になります。作品を書く前に、そのジャンルではどの程度の資料が必要になるのかを検討すると、お財布に優しい創作活動が出来るかも知れません。
とは言え、その本が欲しいと思ってしまったら、もう買っちゃうんですけどね。ちなみに最近買った、資料になりそうな本を並べてみます。
どれもまだ読んでいませんし、次に書く構想を練っているのは現代を舞台にしたミステリーか異世界ファンタジーなので(エラい幅がありますが)たぶんどの本も必要ないと思います。でも知っていて損はないはずです。何せ話の引き出しが増えます。あるいはキャラクターの作り方にも影響を与えるでしょう。それにもしかしたら、次の次に書く作品ではメインの資料になる可能性だってある訳ですから。
事ほど左様に、私にとっての資料というのは、主に書く前の段階で必要とする書籍です。また、書籍から情報を抜き出して、自分が使いやすい資料集を作る事もあります。アナログというかアナクロというか、なかなかスマートには行きませんが、そういう段階を踏まないと、どうにも書けないのですよねえ。
なお、これだけいろんな本に目を通しているのだから、さぞいろんな事に詳しいのだろう、と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、面白い事に資料として読み込んだ知識は、作品を書き上げると全部忘れてしまいます。ビックリするくらい、見事に頭の中から消え去ります。なので自分の作品を後で読み返して「よくこんなの書いたな」と思う事しばしばです。
資料についてはこんなところでしょうか。何か本来の趣旨から外れているかも知れませんが、まあそこはご愛敬で。
そんな訳で、最後に宣伝をば。
「強請り屋 悪魔の羽根顛末」
https://ncode.syosetu.com/n2899fc/
この続編の「強請り屋 静寂のイカロス」が、先般のアルファポリス「第2回ホラー・ミステリー小説大賞」で、特別賞をいただきました。自分でも驚いております。ただ「悪魔の羽根顛末」も結構面白いと思いますので、またお時間がございましたらよろしくお願い致します。