全1件 (2017/03/09 ~ 2017/03/09)
出版社 : 笠間書院
ISBN : 9784305708359
人はどのように苦しみ救いを得ているのか
恋や愛という他者への欲望から生まれる罪業と葛藤、
そして聖人の救済が描かれる『霊異記』。
奈良末期から平安朝前期において、漢訳仏典の語や教理の深淵に
人間の心の様相を求め、存在の在り方を探った仏教説話集である。
これまでは仏教学、思想史学、歴史学、国語学方面からのアプローチが
ほとんどであったが、「文学」の対象に据えたとき、
物語の持つあらたな構造が浮かび上がる。
作品論的読解により、中国説話集の未熟な模倣作とされた評価を覆す。