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「倉橋由美子」の書籍一覧(最新発売日情報)

全7件 (2005/03/15 ~ 2023/12/21)
 倉橋 由美子(くらはし ゆみこ、1935年(昭和10年)10月10日 - 2005年(平成17年)6月10日)は、日本の小説家。本名・熊谷(くまがい)由美子、旧姓・倉橋。『パルタイ』、『スミヤキストQの冒険』など初期の作品では戯画・風刺的な傾向が見られる一方、後期では『よもつひらさか往還』など幻想的、作品によってはスペキュレイティヴ・フィクション的な要素が多い。
 
 高知県香美郡土佐山田町(現香美市)に歯科医の長女として生まれる。私立土佐中学校・高等学校を経て、精神科医を志し公立医学部を受験するが失敗。母は浪人に反対するので京都女子大学国文学学科に籍を置く。医学部を再度受験するが失敗。これ以上の浪人は許されず、神奈川歯科大学短期大学部別科歯科衛生コースに入学。上京し、大学構内の寮に入る。6畳に4人の生活であった。大学を卒業、歯科衛生士国家試験に合格する。その後、歯科衛生士としてアルバイトしながら東京に留まり、明治大学文学部文学科仏文学専攻に入学して斎藤正直の指導を受け、中村光夫に学んだ。在学中に明治大学学長賞を狙い『パルタイ』を応募。卒業論文ではジャン=ポール・サルトルの『存在と無』を取り上げた。帰省中に大学からの電報で『パルタイ』が学長賞に決定を知り、上京。在学中の1960年、『明治大学新聞』に小説「パルタイ」が発表され、明治大学教授の平野謙 (評論家)が『毎日新聞』文芸時評欄でとり上げて注目される。「パルタイ」は、『文學界』に転載され昭和35年度上半期芥川龍之介賞の候補となった。同大学大学院文学研究科に進学すると同時に作家活動を開始する。『文學界』や『新潮』などに短編作品を次々と発表する。続いて『夏の終り』で芥川賞候補となったが、受賞はしなかった。同年、短編集『パルタイ』を上梓し、翌年、女流文学者賞を受賞。1963年、田村俊子賞賞受賞。「第三の新人」以後の新世代作家として石原慎太郎、開高健、大江健三郎らと並び称せられ、特に作風や学生時代にデビューしたという共通点のある大江とは比較されることが多かった。
 1961年、初の長編『暗い旅』を東都書房より刊行するが、ミシェル・ビュトールの『心変わり』の真似に過ぎないのではないかと江藤淳に指摘され、「外国文学模倣論争」に発展した。本人は『倉橋由美子全作品集』の作品ノートにおいて、これは元々ビュトールの『心変わり』にインスパイアされていることを読者が前提として読んでいることを想定しており、また主人公があなたと二人称で呼ばれていることよりも、ビュトールからはその意識の流れの手法を導入したことが作品の意図であったとしている。1962年、父を心臓発作で失い、大学院を中退して土佐山田の実家に帰るものの、父の喪失のショックからか小説を書くことに拒絶反応が強くなり、編集者を避けるためにしばしば旅に出る。
 1964年、結婚し、土佐に新居を構える。かねてより体調は不良で小説を書くことも辛かったという。伊藤整の推薦でフルブライトのアメリカ留学への試験を受け、準備をする為に上京するも、血圧や消化器系統に問題があり昏倒することもあった。精密検査をくり返すが結局アメリカ出発は体調がすぐれず辞退。『聖少女』を書き下ろし新潮社より刊行。フルブライト委員より留学の意志を問われ静養先の西伊豆より上京。1966年より、アメリカのアイオワ州立大学に留学、夫の富裕氏も同大学のフィルムワークショプに入学。同地では健康を回復して翌年帰国。1968年、長女まどかを出産する。また留学先で知り合った友人ヴァージニア・ハルツバーグやアメリカでの経験を描いた小説「ヴァージニア」を群像に発表。同時に、能やギリシャ悲劇や川端康成の文体に影響を受けた「長い夢路」を新潮に発表。翌年、カフカエスクな『スミヤキストQの冒険』を刊行、空想的な長編として話題となる。
 1971年(昭和46年)次女さやかを出産する。また同年『夢の浮橋』を刊行して新境地を開くが、世間的評価は低かった。これ以降は『夢の浮橋』の登場人物からなる連作を長期にわたって創作する。詩人・英文学者の西脇順三郎や源氏物語やギリシア神話がその創作のモチーフであるといい、人間関係を軸にブルジョワジーのライフスタイルをリアルに描き、作風の幅を広げた。このシリーズは作者の晩年まで続くこととなるが、この時期以降の作品では以前のようにコンセプト重視の姿勢を前面に打ち出すことは稀で、幻想的で衒学的なものが多い。1980年代以降、日本の作家の中ではかなり早期にワープロを用いた執筆を開始していた。1983年(昭和58年)『アマノン国往還記』で泉鏡花文学賞受賞。1984年(昭和59年)の『大人のための残酷童話』はロングセラーとなった。晩年は体調を崩したこともあって、長編小説の執筆は行われなかった。歴史的仮名遣いで書く作家で、シェル・シルヴァスタイン『ぼくを探しに』、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』など児童文学の翻訳も多く手がけた。
 2005年(平成17年)6月10日、拡張型心筋症により69歳で没した。翻訳『新訳 星の王子さま』が遺作となった。没後の2006年(平成18年)、母校の明治大学より特別功労賞が授与され、同大学において回顧展が開催された。
引用元:Wikipedia 2019/08/03
倉橋由美子/著 桜庭一樹/編集
出版日 : 2023/12/21
出版社 : 中央公論新社
ISBN : 9784122074538

六〇年代に登場し、熱い支持と批判を浴びつつ独自の文学世界を創造した倉橋由美子。その多彩な短篇群から、作家・桜庭一樹が厳選し紹介する。「パルタイ」「夏の終り」他初期作品から、「移転」等文庫未収録の後期幻想作品、人気を博した「怪奇童話」シリーズまでを網羅した新たなベストセレクション。〈対談〉桜庭一樹・王谷晶〈解説〉小平麻衣子
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出版日 : 2019/01/10
出版社 : 小学館
ISBN : 9784093523554

上流階級が秘密に繰り広げる淫靡な「交歓」 出版社社主であった亡父の跡を継ぎ、経営者となった桂子さん。だが、そんな折、夫が脳卒中で急逝してしまう。 夫の研究室に残されたBRAINというコンピューターとフロッピーの遺言。未亡人となった桂子さんの前に出現した亡夫の学友だったと名乗る謎の財界の大物・入江晃。桂子さんは太陽のような魅力を持つ入江に惹かれていくのだが、入江には知られざる顔があった。 竹林別荘、秘密倶楽部、豪華邸宅と上流階級の濃密な交歓を華麗典雅な筆致で描いた知的刺激が満載の倉橋ワールドが展開される。「桂子さんシリーズ」の第3弾。
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出版日 : 2018/06/07
出版社 : 小学館
ISBN : 9784093523417

女性が支配する「アマノン国」の性と革命 一神教のモノカミ教団が支配する世界から、幻の国アマノンに布教のため派遣された宣教師団。 バリアの突破に成功した唯一の宣教師Pを待っていた「アマノン国」は、一切の思想や観念を受け容れず、実益のみが意味をもつ実質主義の国だった。 男は排除され、生殖は人工受精によって計画的に行われるアマノン国に「男」と「女」を復活させるべく、Pは「オッス革命」に乗り出す。 究極の「性」と「宗教」と「革命」のSF大冒険大作で第15回泉鏡花賞受賞作。
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出版日 : 2018/02/06
出版社 : 小学館
ISBN : 9784093523288

棄教か離婚か――驚愕の“夫婦間宗教戦争” 夫の山田信・英文学教授は、渡仏中に突如パリで洗礼を受けカトリック信者になってしまう。妻の桂子は夫の独断、裏切りに自尊心を深く傷つけられる。 二人の子供の将来を案じながらも、棄教か離婚かの選択を夫に突きつけ、夫婦の間で“宗教戦争”が勃発するのだが――。 生涯“物語文学”を追求し続けた倉橋由美子が、禁じられた愛や夫婦交換をキリスト教を背景に描き、知識人階層を鋭く風刺した問題作。倉橋文学後期の傑作「桂子さんシリーズ」の第二弾。
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出版日 : 2017/08/08
出版社 : 小学館
ISBN : 9784093523103

若い男女とその両親たちの“夫婦交換遊戯” 大学で知り合い愛し合うようになった一組の若い男女。だが、期せずして自分たちの両親が、夫婦交換遊戯を長年にわたって続けてきたことに気づいてしまう。 結婚を夢見る男女と、一方で両親たちが繰り広げる艶麗な恋愛譚を通じ、生涯“物語文学”を追求し続けた倉橋由美子が、古代神話、源氏物語等の系譜を織り込んだ意欲作。倉橋文学後期を代表する「桂子さんシリーズ」の第一弾である。解説は倉橋文学研究の第一人者である古屋美登里氏。
出版日 : 2009/08/11
出版社 : 講談社
ISBN : 9784062900584

大蛇を呑みこんだ男をめぐって起こる不可思議な騒動。最後には呑みこんだ蛇に呑みこまれてしまう男。初期の表題作ほか名作短篇を精選
倉橋由美子/著 千葉望/解説
出版日 : 2005/03/15
出版社 : 講談社
ISBN : 9784062750196

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