「わたし、わたしじゃ、なくなる！」 架空のゲーム世界で憑依した悪霊〝メイルドメイデン〟が 現実世界の肉体をも乗っ取ろうとする。 しかし、その正体とは――。 〜〜涙なく泣く孤独な魂をめぐる物語〜〜 ＝＝＝＝＝ 人付き合いが苦手で、 ひとり暮らしをしている高校二年生の河野あけみは どこか訳ありの数学教師・吉備津のことを 強く慕うようになっていたが―― 「先生……わたしを止めて」 「わたし、わたしじゃ、なくなる！」 たまたま体験した会話型RPGを通じて、 異世界への鮮烈な扉が開かれる！ 悔恨と苦闘の末、あけみたちがつかみ取る真相は、 果たして現実か幻か？　 ＝＝＝＝＝ 決して救われないのだという絶望に、涙もなく泣いている、 そんなすべての魂に、 痛みをやわらげる小さな光を贈りたくて、 この物語に着手したように思う――著者 『幻想世界の住人たち』の健部伸明が、現代に贈る物語！