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「笙野頼子」の書籍一覧(最新発売日情報)

全14件 (1998/02/10 ~ 2023/11/17)
 笙野 頼子(しょうの よりこ、1956年3月16日 - )は日本の小説家。本姓・市川。三重県出身、立命館大学法学部卒。
 自称「神道左翼」の立場からラディカルな政治性を打ち出し、私小説と幻想小説を周到なメタフィクションやポリフォニーを用いて過激に混成させた作風で、「闘う作家」「メタの女王」などと呼ばれる。
 2011年度より立教大学特任教授(文学研究科・比較文明学専攻博士課程前期課程)。
 
 自らアヴァン・ポップ作家と称し、藤枝静男や内向の世代などの影響を受けた独自の私小説を得意とする。概説的には世界への違和感を社会的な視座に見据えつつ、不穏な幻想とスラップスティックなユーモアによって批評的に描くスタイルと言え、この傾向は90年代後半、「論争」を経てからより顕著になった。
 初期の作品は緊密な文体で鬱屈した観念・心理表現と澄明な幻想描写の融和を試行した難解なものが多く、発表できても反応はほとんどなかったが、1990年代に賞を立て続けに獲得したことで一気に評価が高まった。デビュー自体は村上春樹や高橋源一郎などのポップ文学の書き手と近い時期であるが、あまりに対蹠的な作風とその転換・再評価の時期に鑑みて、阿部和重らのように理論性と娯楽性を併せ持った、いわゆるJ文学作家の一人と言われることもある(本人はエッセイにおいてこのカテゴライズに疑念を表明している)。
 研究者とも言える支持者には長編評論『笙野頼子 虚空の戦士』を著した清水良典がおり、笙野のさまざまな作品に積極的な評価を与えている。
 
 1956年、三重県四日市市に生まれ、伊勢市に育つ。 伊勢市立修道小学校、伊勢市立五十鈴中学校、三重県立伊勢高等学校卒業後、二浪して立命館大学法学部に入学し、主に民法を学ぶ。大学在学中より小説を書き始める。大学卒業後も他大学受験の口実のもと予備校に通いながら執筆していた。1981年、地獄絵図に固執する絵師の妄執と暗い情念を描いた「極楽」で第24回群像新人文学賞を受賞し、小説家デビュー。藤枝静男や川村二郎、木下順二から選評で賛辞を受けるも、田久保英夫はこれを「小説の文章とは思えない」と評した。
 その後もひたすら両親からの仕送りを頼りに専業で小説を書き続けるが、向こう10年もの間は、いくつかの幻想文学的短篇が『群像』にかろうじて掲載されるほかは担当編集者からの没を受け続け、また批評的な耳目からも遠ざかった。当然自身の収入はほとんどなく、現在でいう「引きこもり」のような生活のなか作品を執筆し続け、1991年、自身の境遇を思わせる女性のモノローグを介して他者や社会との断絶された関係を描き出した『なにもしてない』で野間文芸新人賞を受賞後、1994年、マジック・リアリズム的手法を用いて「先祖や身内や郷里との、無関係をも含む関係を、反リアリズムで表現」し、「大地と共同体に挑んだ」「二百回忌」で第7回三島由紀夫賞、海芝浦駅への紀行文的体裁の中で自由自在に時間軸を往還する語り口の「タイムスリップ・コンビナート」で第111回芥川龍之介賞を受賞し一気に注目を集める。また純文学新人賞として名のある上記三賞を受賞したことから「新人賞三冠王」などとも称された。
 それらの受賞作と同時進行的に書かれた『硝子生命論』『レストレス・ドリーム』『増殖商店街』と作品を重ねるごとに80年代からの作風を次第に批評的にシフトさせていき、1996年に実母の病の中で「母と娘の間の愛憎のねじれと切なさ」を「言語のアクロバット」によって描いた『母の発達』で第6回紫式部文学賞候補、1998年に東京で女性らしくなく独居する女性が妖怪化し、様々な都市の妖怪と出会う風刺的な『東京妖怪浮遊』で女流文学賞候補となる。しかしいずれも女性作家のみを対象にした賞であることから、「自分が取れば『女は得だ』と言われると思った」という理由でいずれも辞退している。
 こうして90年代の内に、スラップスティックな意匠と複雑な社会と自己の認識が作品にあらわれていくにしたがって、徐々にそれまでの澄明な硬質さから、くだけた口語や俗語、卑語などを交えた晦渋かつ饒舌な文体へと転換し、更に後述の「純文学論争」、作品ではそれら論敵への苛烈な批判を戯画的に作品化した『てんたまおや知らズどっぺるげんげる』頃を契機として、これまでのある種内向的な作風から、対外的な視野を持った批判的・戦闘的な作風に軸足を移すこととなった。
 2001年、森茉莉を援用して既成文壇の「少女」観・女性観への批判を行いつつ森を「やおい」的な偏見から切り離して擁護すると共に、笙野の現在に至るポリフォニーで狂騒的な語り口を確立した『幽界森娘異聞』で第29回泉鏡花文学賞受賞。2004年、鈴木いづみらの先行作を想起させる(実際に参考文献として巻末に鈴木の著作が記載されている)男性的性差別の支配原理と「原発」権益によって運営される女性国家・ウラミズモを通して男性原理的社会制度とそれに抵抗するフェミニズム双方の欺瞞を戯画的に描いたフェミニズム批評的ディストピア譚『水晶内制度』で第3回センス・オブ・ジェンダー賞受賞。2005年、生まれてすぐに一度死んだ女児に金毘羅が宿り女流作家となった、という奇抜な設定のもと、社会・政治に排斥された土俗神などへの言及をからめ自他に冷徹な考察を綴った『金毘羅』で第16回伊藤整文学賞受賞。近作に『金毘羅』『萌神分魂譜』『海底八幡宮』の三部作、「おんたこ」「論畜」「ロリリベ(ロリコン・リベラリズム)」などのユーモラスな自作タームを用いて日本の批評空間・政治言説へ痛烈な皮肉をぶつけた三部作『だいにっほん、おんたこめいわく史』『だいにっほん、ろんちくおげれつ記』『だいにっほん、ろりりべしんでけ録』、狂騒的な情況のなかで愛猫の死を越えていくまでの記録『おはよう、水晶――おやすみ、水晶』など。
 近年ではそれまでの私小説と幻想の共存した世界観のみならず、日本の社会制度、殊に安直に男性原理をなぞるようなフェミニズムやジェンダー意識への風刺や、柄谷行人の文学観や西洋哲学・テクスト主義中心主義的な評論のような文学を取り巻く情況への疑義をこめつつ、「神道左翼」としての立場からそれらの制度を自壊まで突き詰めるようなスケールの作品を志向している。また現代社会構造の戯画として「明治政府ちゃん」「美少女」「火星人」「遊郭」「ポルノ」「ロリコン」などの挑発的な道具立ても好んで用いる。またルートヴィヒ・アンドレアス・フォイエルバッハやジル・ドゥルーズ(『千のプラトー──資本主義と分裂症』『批評と臨床』など)といった既存の哲学・思想の表立った援用も試みはじめる。
 近年は主に『すばる』『文藝』両誌において連作『小説神変理層夢経』の執筆に着手していたが、2013年に自身がこれまで三十年以上膠原病(混合性結合組織病)に罹患していたことが発覚、現在は継続的な治療を受けている。その闘病記である『未闘病記――膠原病、『混合性結合組織病』の』で第67回野間文芸賞受賞。
引用元:Wikipedia 2019/08/03
出版日 : 2023/11/17
出版社 : 岩波書店
ISBN : 9784006023546

芥川賞作家が十代から苦しんだ痛みと消耗は十万人に数人の難病だった。病と「同行二人」の半生を描く野間文芸賞受賞作の文庫化。
出版日 : 2023/09/20
出版社 : 岩波書店
ISBN : 9784006023515

母性神話の着ぐるみ喰らってウンコにした、一読必笑、驚異のおかあさん小説が二一世紀に甦る。
cover
笙野頼子/著・写真
出版日 : 2021/01/25
出版社 : ステュディオ・パラボリカ
ISBN : 9784902916430

老いと病い。猫と一身に生きる 笙野頼子書き下ろし! 初版限定カラー猫写真帖「猫沼二十年」付き
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出版日 : 2020/11/12
出版社 : 講談社
ISBN : 9784065217900

痛みと希死念慮の中、不屈の思考と憧憬で紡いだ幻の初期作品群。現在から過去を振り返る書下ろし「記憶カメラ」併録。
cover
出版日 : 2020/08/12
出版社 : エトセトラブックス
ISBN : 9784909910073

怒りと悲しみの上に生まれた女の国ウラミズモーー。センスオブジェンダー賞受賞衝撃のディストピア文学が復刊。作家自身による新解…
出版日 : 2018/10/26
出版社 : 河出書房新社
ISBN : 9784309027364

奴隷大国にっほんから独立した女人国ウラミズモが、S倉市を占領して8年。そして今、両国の興亡を決する壮絶な戦いが幕を開ける!
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出版日 : 2017/08/01
出版社 : 講談社
ISBN : 9784062206617

最近の日本は危険な戦前、怖い怖い悪魔の「人喰い」契約が目の前に――。S倉市の高台にある作者のおうちの台所で猫神様が語り出す。
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出版日 : 2017/03/14
出版社 : 講談社
ISBN : 9784062903417

単身独身女性の生活空間への違和が共感を呼んだ「居場所もなかった」を中心に、転居と猫との暮らしの変遷が浮き彫りになる作品集。
出版日 : 2016/11/29
出版社 : 河出書房新社
ISBN : 9784309025209

ひょうすべに支配され、暴力と抑圧が加速する世界で、詩歌は生き延びることができるのか……腐敗した現代社会に亀裂を穿つ傑作!
出版日 : 2014/12/25
出版社 : 河出書房新社
ISBN : 9784309023502

私の言葉は動き続ける。私の書く「機械」は止まらない――自身の文学を圧倒的スケールで再構築する傑作の誕生!
出版日 : 2014/07/31
出版社 : 講談社
ISBN : 9784062190169

第67回野間文芸賞受賞!アラ還作家と15歳猫の静かな日常を、正体不明の「難病」が襲う―-選考委員絶賛のスーパーリアル私小説!
出版日 : 2013/12/11
出版社 : 講談社
ISBN : 9784062902137

文豪の娘にして耽美の祖。「森娘」に、ある日私は雑司ヶ谷で運命的に出会った。時空を超えて響き合う作家の魂。泉鏡花文学賞受賞作。
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笙野頼子/著 室井光広/著 保坂和志/著 又吉栄喜/著 川上弘美/著 柳美里/著 辻仁成/著
出版日 : 2002/08/12
出版社 : 文藝春秋
ISBN : 9784165072706

日本の根底的な変革の時代、文学もまた新たな地平へと歩みを始める。第百十一回から百十六回までの七作と選評・年譜を合わせ収録
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出版日 : 1998/02/10
出版社 : 文藝春秋
ISBN : 9784167592011

電話の主はマグロかスーパージェッターか? 時間と空間がとめどなく歪み崩れていく「海芝浦」への旅が始まった。芥川賞受賞の表題作他、「下落合の向こう」「シビレル夢の水」を収録。

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