出版社 : 小学館
ISBN : 9784096580738
貴族から庶民にわたる江戸時代の和歌を一望する。受け継がれる雅の伝統
貴族の専有を離れて、武家も庶民も広く携わるようになった近世和歌。万葉・古今以来の伝統に、新しい装いを加えた姿を、著名作者の実作を通して一望する。近世前期の木下長嘯子・後水尾院から、中期の小沢■庵・賀茂真淵・田安宗武などを経て、後期の香川景樹・千種有功に至るまでの近世の歌人二十余名の作品を収録。 宮廷の奥深く出入りを許された当代最高の知識人だけが作歌の現場に立ち、濃密な人間関係の一喜一憂がそのまま素材となり得た遠い昔とは異なり、近世和歌は古典の享受と新しい表現模索が高い水準で行われた初期から、全国津々浦々で経済的余裕があり知識欲に燃える人々が活躍した末期まで多様に展開する。<正統>と<異端>をめぐり伝統と新勢力の相克がどのような和歌表現を生んだのか明らかになる。