廣田弘子/再話 藤原あずみ/絵 佐藤修/原作 菊池トヨ/語り
村の子どもらは、かっぱのかんきちと仲良しだ。夏には、片貝川で素もぐりを教えてもらう。ところが、1人だけいつまでももぐれない子どもがいた。それが庄屋の息子=じんろくだ。たった1人でもぐりの稽古をするじんろくが、不幸にも水死する。それを大人たちは、「かっぱのかんきちがやったのだ」と決め付け、殺してしまう。嘆き悲しむかんきちのかあちゃん。その後、村に疫病が流行り、子どもらが生死をさまよう。観音様のお告げは、「かっぱのかあちゃんに、妙薬を作ってもらうしかない」。子ども:かんきちの敵である、大人たちの願いを「村の子らは、かんきちの友達だでなあ」と受け入れる。妙薬を作るには、大きな石が必要だ。片貝川にあった大きなすり鉢上の石で妙薬を作ったかあちゃんは、精根尽きて死んでしまう。妙薬を飲んだ子らは日に日に元気になり、村人はいつまでもかっぱの親子の冥福を祈る。