小山ブリジット/編集・解説 EugenePares/著 AndreLaurie/著 ほか
フランスで19世紀末~20世紀初頭にかけ一般大衆や若い読者向けに盛んに発表された、日本を題材としたフランス小説類の復刻シリーズの初回配本です。この時代に東洋・日本趣味の文芸作品を数多く著したピエール・ロティやジュディット・ゴーティエなど著名作家の作品と異なり、そのほとんどが今日忘れ去られている作家による作品群で、これまで文学、文化研究の対象とされることも極めて少なかったものばかりです。
第1回配本では、19世紀末(1880年~1899年)の間に刊行された、フィクション4作品を復刻集成します。アフリカやアジアなど異国舞台にした旅行小説を著したEugene Pares、政治家で政治小説を執筆する傍ら、ジュール・ヴェルヌとの共作でSF小説も数多く出版したAndre Laurie、子供向けの物語や恋愛小説など幅広く発表した女性作家Gabrielle d’Arvor、台湾を舞台にした冒険小説なども著しているJean Dargeneによる小説の集成です。数多く出版されていた日本旅行記を基に執筆された、異国趣味の高い小説や空想小説で、19世紀末のフランスからの日本への複雑なまなざしが感じ取られる文献のコレクションです。